敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【蟻族−高学歴ワーキングプア−】VOL.2


●もう一つのエリート大学「精華大学」

 さて、優秀な新卒大学生獲得が必要なのは中国人民解放軍も同様ですが、一昨年の入隊希望者数が、一部地域で定員に達しなかったり、軍の予想を大きく下回る結果に終わり、慌てて二次募集に踏み切る地区も出現したそうです。
 その要因として、第一に出生率の低下による入隊適齢期に該当する若者人口の減少があります。
 第二には、大学進学率や就業率のアップにより、多くの人材が大学や企業に奪われたことが考えられます。
  第三に「一人っ子政策」は、両親には「一人息子に辛い軍事訓練をさせたくない」という考え、若者には「軍隊で苦労したくない」という考えが増えるなど、国防意識の低下が顕著になっているそうです。
 第四に入隊希望の大学生に対する政策不備、第五に「優撫金(軍人慰労金)」の少なさが指摘されています。
 1980年代に始まった「独生子女(一人っ子)政策」が始まった頃に生まれ、家庭では両親の祖父母たち六人から溺愛を受け「小皇帝(小さな皇帝)」として君臨、望めば叶わないことがないほど甘やかされて育っています。
 ところが、今では哀れな境遇に陥り、平均月収は2,000元(約260,000円)未満の失業、あるいは半失業の状態の思い通りにならない日常に鬱憤を覚えています。
 蟻族を増やした責任は中国政府にあるのは明白ですが、だからと言って一党独裁体制の政府を批判してデモをしても逮捕されるのが関の山です。
 いずれにしても「八〇后」「九〇后」「蟻族」世代がどうなっていくのかが今後の中国問題を語るうえで大きなキーワードになるでしょう。