敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【五色収入】VOL.1


●お金ってたくさんある所に集まるんですよねぇ。

 中国は1979年から2007年の約30年間で、GDP成長率が平均で10パーセントという驚異的な発展を遂げ、世界に名だたる経済大国にまで成長しました。国が栄えることで、貧困層から約3億人が脱出し、このままの勢いだと、2020年には中国はついに米国を抜いて世界最大の経済大国になると予想されています。
 1980年にケ小平が唱えた「先豊論」は、「条件のある人や地域は先に豊かになっていい」という考え方でしたが、実は下の句には「先に豊かになった人や地域は、後進の人や地域の発展を援助し、やがて共に豊かになる」がありました。ところが、この30年間、この下の句に読まれた「共同富裕論」は、所得政策や税制改革などで具体化、展開されることもないまま推移してしまったため、国民の所得格差はますます広がっています。
 中国社会科学院の調査によると、国内で上位10パーセントまでにランクインする高所得者だけで、中国全国民が持つ資産の、なんと40パーセントを保有しているそうです。
 さて、中国には「五色収入」という言葉があります。五色収入とは自ら得るお金の色の例えに「白、黒、灰、血、金」の五色を割り当て、それぞれに意味を持たせています。まず「白色」は、給料、賞金、年金など通常得ることの出来る正当な収入を意味します。しかしながら中国社会には巨額の副業などによる非公開の「隠性収入」があり、給与・年金など透明な所得は全所得の3分の1程度と言われています。つまり、全所得の3分の2は所得税課税を免れているそうです。次に「黒色」は、公共資産の私物化など、権力を悪用・乱用など汚職で得た不法所得、また密輸・盗難・麻薬取引など犯罪によって得た不法所得を意味します。「灰色」は、合法と非合法の中間とも言える、講義料、原稿料、礼金、手数料、リベート、付け届け、感謝費など、規則には触れるが違法ではない収入、限りなく非合法でも税務署から免れるもの、実態は非合法といえるものまで多種多様です。