敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【夏の風物詩】VOL.1


● 膀爺たち

 一昔前の話になってしまいましたが、中国・北京の「夏の風物詩」といえば、下町を上半身裸で闊歩する膀爺(おじさん)でした。早朝か夕方になると出没する彼らは、人畜無害な普通の膀爺です。そして、特段、何かしら用事や意図があるわけではありません。単に暑いから上半身裸でいるだけなのです。 印象的なスタイルとしては、作業ズボンを半ズボンにリメイクしたようなベージュかカーキ色の短パン、もしくは膝の少し上まで裾がある長目の短パン姿でウロウロするのです。そして靴は履き古した革靴で、決まったようによれよれの帽子を被っています。日本でも昔はランニングシャツにステテコ姿でうろつくおじさんはいましたよねぇ。縁側でサイダーを飲みながら将棋を指したり、テレビ観戦したり、懐かしい光景です。
 これらの光景がすっかり見られなくなったのは、北京オリンピックが契機となっています。北京五輪開催の2〜3年前から始まった「マナー強化プロジェクト」によって、膀爺撲滅運動に取り組んだのがきっかけです。このビッグイベントには全世界から多くの人が中国に来ますから、外国人に見られては国の恥とばかりに、街中には指導員が出て、彼らを見かけると「シャツを着て歩きなさい」と注意していました。
 若者は「国際都市・北京の品格を落とす恥ずべき行為であり、上半身裸で歩いていいのは家の中だけ」と冷ややかに見ています。膀爺たちには真新しいTシャツが配られることもあったので、表向きには一掃されたように思われます。また、相乗効果なのか、ところ構わず痰を吐く、列に並ばないといった行為もかなり減っていきました。
 次号では、同様に上海でも非難を浴びている「パジャマ姿で外出する」人についてお話したいと思います。