敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国的麦酒(中国のビール)】VOL.1


●青島ビール(左)と燕京ビール。ゴールドラベルは高いので注意が必要です。

 毎日、まるで酷暑のような暑い日が続くと、麦酒(ビール)党にはたまらない季節になりますよねぇ。
 そのビールの歴史を調べてみると、メソポタミア文明のシュメール人が大麦を使って作っていたそうですから意外に古いことが分かりました。当時のビールは、芽を乾燥させて粉末にしたものを水で練って焼き、パンのようにしてから水に浸してふやかし、麦芽の酵素で糖化を進行させてアルコール発酵させたようです。
 穀類を豊富に産したメソポタミアやエジプトでは、ビールはパンから派生した、非常に食物に近い日常飲料だったようです。中国では、2世紀の史書『後漢書』の記述に「麦酒」という単語が登場します。恐らく現在のビールとは異なるものでしょうが、麦を使った酒があったのは事実のようです。
 実際の中国のビールの歴史は欧米諸国に大きく遅れました。中国最初のビール工場は、黒龍江省ハルビンにロシア人が設立した哈爾浜碑酒(ハルビン・ビール)ですが、そこからの急速な発展は目覚ましく、2003年にアメリカを抜いてから、ビール生産量はダントツの世界一になっています。
 人口が多いことが最大の理由ですが、中国の一人当たりのビール消費量をみると、世界標準以下の56位です。それでも、一般人にとって、アサヒ、キリン、サッポロなど日本のビールは高くて手が出ませんが、逆に人前で日本のビールを飲む事は一種のステータス、見栄とも言われています。
 中国に企業進出した日本のビールメーカーも、中国国内向けの独自のブランドを立ち上げて国内競争に乗り込もうとする姿勢が見られますから、まだまだこれから伸びる業界と言えるでしょう。
 次号、まだまだビールのお話しは続きます。