【中国的麦酒(中国のビール)】VOL.2
●ノンアルコールを意味する無醸碑酒
ただし、流通と冷蔵という技術的な部分において、まだまだ完備しているとは言えない事情がありますので、各地方都市に小規模なビール工場が多数存在し、その地域に根ざしたビールを製造しているといった具合です。生水が恐い中国ではジュースやビールよりもミネラルウォーターの方が高価ということもあり、水代わりにビールを飲む人もいます。しかし、「冷えたものは身体に悪い」という考えを持つ中国では、つい最近までビールは常温で飲まれていました。筆者のように、訪中の度に、生ぬるいビールを出されてゲンナリといった経験をお持ちの方も多いと思われます。
ビールを冷やして飲むという風習は、20世紀以降の冷蔵技術の進歩により加速度的に広まりましたが、それまでビールもコーラも常温で飲む習慣があった中国でも、日本のコンビニエンスストア系企業が進出したことで、冷たい飲料水の需要が一気に上がりました。
さて、中国のビールと言えば、日本にも輸出されている青島ビールが知名度抜群で、次に北京の北京ビール、やや甘口の燕京ビールなどが挙げられます。青島ビールの本拠地がある青島市界隈は、戦前ドイツが租借していたこともあり、租借地経営の一環として、産業振興策のビール生産の技術移転を行ったことを契機に広がりを見せました。ドイツの技術を背景にしたビールで、独特の臭みはあるものの、味わい深いビールです。ちなみに青島ビールは中国国内のビールシェアの12.8%を占める一大ブランドです。
古代中国では、酒に酔うことで精神が開放され、より高度な自由で鋭敏な理性や感性を得ることができると信じられ、古の詩人の多くも酒を手放すこと無く、名詩を詠みました。ヨッパライには比較的、寛大な中国ですが、日本のように酔い潰れるまで飲むような事はありません。酒癖で社会的信用、家庭内信用を失う事は中国では死ぬほど恥ずかしいことです。心当たりのある方、運転する予定のある方は「無醸(ノンアルコール)」で我慢してくださいませ。
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