敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【人心喪失】VOL.2


●世界を震撼させた監視カメラ映像

 メディアの論調は、「経済発展する現代中国では、とりわけ巨大な流動人口を抱えた都市においては人心が荒廃し、人と人とのつながりが希薄になった」、また「人と人の関わりを避ける冷漠社会になった」と声を高めています。
 しかし、現代中国を生き抜くために生存競争の熾烈さや、ある種の冷淡さが必要となり、それによってこのようなモラルハザードが生まれるのでしょうか。人間のモラルは、多少の生まれてきた環境や教育、生きて行く上での精神的余裕や安全や充実感が必要なのは当然だと思います。
 たとえば日本人が列に並ぶのは、横入りや手に入らないことがなく、「並べば確実に順番が来る」信頼関係があるからだと思います。この信頼関係が崩れれば、天変地異などで需要が切迫した状況になれば、日本人も「我先に」の行動を取るかもしれない危険も孕んでいます。
 問題の背景には、一党独裁による社会主義体制の限界、人口生育計画「一人っ子政策」、法整備の遅れなどが指摘されていますが、このような国際社会を絶句させる衝撃的、非人間的行為が国際社会から非難を浴び、反中感情の高まることを想像すらしない一部の人間がいることも「現代中国の現実」と言えるのかもしれません。
 悦悦ちゃんを助けた陳賢妹さんが「たとえ後に損害賠償を強いられても必ず助ける」と証言したそうで、せめてもの「見義勇為」の士と「惻隠之心」を垣間見た気がした筆者です。