敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【空中城市】VOL.2


● 完成予想の空中城市

 現場で働く作業員は「ボルトをしっかり固定する作業が必要なだけ」と答えているそうです。余談ですが、ブルジュ・ハリファは完成するまでに要した歳月は約6年ですから、その差は歴然としています。
 遠大集団創業者で現在会長を勤める張越氏(52)は、1988年に3,000ドルを元手に創業、エアコン製造のメーカーで収益を約50億円にまで飛躍させるなど独創的な事業展開で有名です。現在では、世界70カ国以上に法人顧客を抱え、売上高は五億ドルを超える一大企業ですが、2008年に四川省で起きた87,000人以上が犠牲になった大地震を契機に、「人間のための安全性と、安心して暮らせる保証は、すべての建物にあるべき」という信念で、安全で、環境にやさしく、災害に強い建物を作ろうとしているそうです。
 急速な経済成長と好景気に沸く中国都会部では、オフィスや住居のインフラが発展していて、過剰なまでの高層・高級マンションが次々と建設されています。土地不足で高騰化する都会部では、張越氏の主張である「都市や地球を救うためには空に手を広げるしかない」は一理あります。しかしながら、本当にこんな短期間で220階建てもの高層ビルを建てて安全性はどうなのか、建築の専門家からも「常識を超えている」と指摘されています。
 即席ビルは単に利益や成長を追求する無茶な計画なのか、それとも未来の安全を保証し、そしてサステナビリティ(sustainability:持続可能性)を追求する企業であるのか、その真価が問われるのではないと思います。