敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【三十六計】VOL1


● 孫子

 中国・中世頃に著された最古の兵法書「三十六計」には、兵法における戦術を六段階三十六通りに分類した計略がまとめられています。具体的に「三十六計」を記述すると、六つのカテゴリーにそれぞれ六つの理念があります。
一戦いの主導権を握っている場合の定石「勝戦計」は、
 満天過海、囲魏救趙、借刀殺人、
 以逸待労、趁火打劫、声東撃西
二優勢で余裕を持って戦う場合の定石「敵戦計」は、
 無中生有、暗渡陳倉、隔岸観火、
 笑裏蔵刀、李代桃僵、順手牽羊
三相手が一筋縄でいかない場合の定石「攻戦計」は、
 打草驚蛇、借屍還魂、調虎離山、
 欲擒姑縦、抛磚引玉、擒賊擒王
四相手がかなり手ごわい場合の定石「混戦計」は、
 釜底抽薪、混水摸魚、金蝉脱殻、
 関門捉賊、遠交近攻、仮道伐?
五同盟国間で優位に立つために用いる定石「併戦計」は、
 偸梁換柱、指桑罵槐、仮痴不癲、
 上屋抽梯、樹上開花、反客為主
六自国が圧倒的劣勢の場合の定石「敗戦計」は、
 美人計、空城計、反間計、
 苦肉計、連環計、走為上
があり、より具体的にその教えを説いています。
 中国では最も有名な兵法書といえば『孫子』ですが、様々な時代の故事・教訓が収められた「三十六計」は民間で大いに流通し、日常生活でも幅広く流用されました。「三十六計逃げるに如かず」という故事はあまりにも有名です。 
 1941年、?州(現・陝西省?県)において再発見され、時流に乗って大量に出版されました。
 次号では、竹簡の新発見により、改めて兵法書に込められた英知についてお話ししたいと思います。