敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【圧歳銭(お年玉)】VOL.1


●紅包と北京三里屯店

 さぁ、いよいよ今年も12月の年の瀬を迎えました。子供さんたちは、早くもたくさんお年玉をゲットの目論見を持たれる頃ですよねぇ。中国のお正月は旧暦なので、今年は2月10日が春節(旧正月)でした。
 しかし、中国政府(国務院)は毎年12月頃に翌年1年間の春節休暇を含めた法定休日を発表しますが、12月にならないと正式には発表しないため、「来年の春節休暇はいつ?」「まだ未確定。」という会話も多くなされます。来年は1月31日(金)が春節です。
 さて、お年玉は中国語では「圧歳銭」と言いますが、大抵、赤い紙封筒にお金を包むため「紅包(儿)」と言います。紅包には「ご祝儀」、「おひねり」なども含まれます。古くは慶事の際や年末に、主人から使用人へ、店主から店員へ支給するのが慣例でしたが、現在は企業幹部や従業員に臨時報酬として支払われるのも「紅包」と言われています。 最近では社会インフラとなるような社会的地位の高い職種の人たちが受け取る賄賂も「紅包(=賄賂)」と比喩されており、紅包を受け取ろうとするのを止めようというスローガンがテレビCMなどで報道されています。
 しかし、中国のような一党独裁政府や大企業、一部の特権階級が圧倒的な力を持つ国では、そもそも実力による競争原理がないため格差は開く一方で、権力者がイコール経済的裕福さと十分なサービスを手に入れる国ですから、社会道徳規範が育たないのも無理はないという指摘がされています。
 さて、お年玉は子供にとっては1年に1度の"稼ぎ時"です。日本でも同じことが言えますが、最近の中国の子供は最先端商品として最も人気の高い米国・苹果計算机公司(アップル社)のタブレット端末「iPad」を買うために、お年玉の値上げや現物そのものの要求をするそうです。中国の「九〇后(1990年代生)」や「〇〇后(2000年代生まれ)」の現代っ子は、自己中心的で冷酷、わがまま、責任感が欠如していると揶揄されていますが、物欲に対しては如実に現れるようです。
 次号では中国のお年玉事情について書きたいと思います。