敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【骨董蒐集心得】VOL.2


● 陳介祺(右)と肉筆書き込み
          (弊社刊「ホ齋藏古陶文選」より)
  

 新清末の大蒐集家で金石学者であった陳介祺(1813〜1884年)は、科挙で進士に受かりながらも早くに職を辞し、故郷・山東省ィ坊市に戻って余生を蒐集と研究に費やしました。青銅器、古銅印、封泥、陶片、碑刻善本、そのどれもが質・量とも尋常ではない中国を代表する蒐集癖の主でした。
 また研究、鑑識の成果は、跋文、押印、手拓の技術とあいまって、貴重な原ツ印譜として残されました。
 有り余る財産を有する人であれば、金にモノを言わせて優品を蒐集することも可能でしょう。安いからと贋物や贋作を蒐集してしまい、見る人が見れば「鼻で笑われる」ことも少なくないでしょう。しかし己の鑑識眼を信じ、少ない小遣いを投じて蒐集した掘り出し物には、何とも言えない愛着が持てます。
 また、そこに至るまでに何度も「授業料」を払うこともあるでしょう。だからこそ、喜んだり、自慢したり、自己満足するのでしょう。この投資こそ「満足税」と言えるでしょう。しかもこの税金は国にも地方自治体にも納付する必要はありませんし、飽きればまた骨董市場で換金も出来ます。高く売買出来れば、銀行よりも金利のいい先物取引にもなる訳です。しかも市場流通を通じて景気回復に一役買う訳ですから、骨董好きは胸を張って世のためになっていると、大いに自慢しようではありませんか。
 今月は完全に自己弁護(笑)のような文章になってしまいした。