敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【難得糊塗】VOL.2


●鄭板橋

 鄭板橋、字は克柔、号は板橋、興化(江蘇省)の人。山東★県の知県に任ぜられたものの、上司に背いて退官した以後は「草木の四君子(梅・蘭・竹・菊)」を好んで題材にするなど、売画生活を過ごしました。

 中国宋代より東洋画における四季を通じての画題として用いられる、春は蘭、夏は竹、秋は菊、冬は梅を描くことで、基本的な画筆方を全て学べるため、書を学ぶための永字八法と同様、画法を学ぶ重要な素材です。
 難得糊塗に似たくだりは『論語』第五「公冶長篇」にもあり、
  子曰 寧武子
  邦有道則知 邦無道則愚
  其知可及也 其愚不可及也 
 紀元前7世紀前半、衛の名宰相・寧武子は、「道があるときは賢者として抜群の知略を振るったが、道がないときは愚者として振る舞った」と伝えられます。
 孔子は
  「寧武子の賢人ぶりは真似したいが、愚者の振る舞   いはなかなか真似できない」
と語り、ここから、
  「人の上に立つ者は大所高所に立ち、賢さを表にださ   ず、あたかも愚か物のように振舞わなければならな   い」
教えとなりました。
 今号も自分への戒めとなってしまいました。