敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国式送迎】VOL.1


●正門前の大渋滞

 最近、中国のメディアは自国独特のあきれた現象を、自虐的な意味を込めて「中国式…」と命名し、流行語のように頻繁に使用しています。
 中国の国情や特色を表す「中国式接待」や「中国式汚職」などの「中国式…」も見受けられます。この「中国式…」は、たとえば昔、日本で流行った標語「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言って、堂々と信号無視して道路を渡りましたが、現代中国では「中国式道路横断」と呼ばれています。
 ところが、中国では車の運転手が交通ルールに従わないケースも多いことから、自分の子供を守るために「中国式送迎」という現象を生んでいます。それは両親(祖父母)が小皇帝、小女帝、つまり自分の子供の下校時間に合わせ、自家用車、自転車、三輪車などで正門前に集結し、早くから子供たちの下校を待つため、校門前が激しい「交通地獄」になっています。
 その様は秩序のない、まるでごった返しの青空市場の様相です。駐車場から溢れた送迎車は不法駐車しましす、それが原因で学校付近や路地は大渋滞になっています。しかも、親が子供の荷物を持ち、子どもは手ぶら、さらに親の送迎は、中学生や高校生になっても続く場合もあるそうです。この親(祖父母バカ)バカぶりを揶揄して「中国式送迎」と命名されたようです。
 しかし、歴史的・政治的背景、生活習慣の違いもありますし、子供を狙った暴行事件も頻発しており、そのような社会に対する安心感の欠如が背景にありますから、「親バカぶり」だけを責めるのは気の毒かもしれません。
 また、保護者の教育懸念として、子どもの危険や悪習慣から守りたいという思想も根強く、「中国式送迎」問題を取り上げるのなら、社会の安心感を高め、子どもが安全に登下校できる環境をつくる必要が急務とも言えます。
 次号では、中国式送迎の対策の究極についてお話したいと思います。