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【改正「高齢者権益保障法」】VOL.1
●薄れつつある親孝行
高齢化が加速する現代中国は、2010年末現在、60歳以上の高齢者数が1億9,400万人、総人口の14.3%に達しています。一人っ子政策の影響もあり、15〜64歳の生産年齢人口は2015年をピークに減少に転じる見込みですが、それでも2020年頃には60歳以上の高齢者数が2億5,000万人、総人口の17%以上、さらに2053年には4億8,500万人、総人口の35%にまで達する見通しとなっています。
都市部と農村部の経済格差が拡大し、農民工や出稼ぎ労働者が都会部に流れることによって二世帯同居世帯が減り、逆に「ある増えた現象」があります。それは、孤独に暮らす高齢者「空巣老人」、両親とも出稼ぎのため故郷に殘された「留守児童」です。都市・農村部の空巣家庭はすでに過半数となり、農村に殘された高齢者は約4,000万人、農村での高齢者人口の37%にものぼるといわれています。
そんななか、年老いた親と別居する子供たちに対し、中国の伝統的な道徳である親孝行への危機感の現れともいえる「常回家看看(実家に頻繁に帰省する)」の思想が、昨年7月1日より改正「高齢者権益保障法」施行に結びつきました。
次号では改正法施行が実際に適用されたケースをご紹介します。
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