【臭老九】VOL.1
●子供たちからキスされる先生
中国語の単語「臭老九」という漢字を見て、いいイメージを持たれる方は少ないと思います。それもそのはずで、「臭老九」とは「知識分子是臭老九(知識分子は九番目の鼻つまみ者)」という意味だからです。中国では既に若い世代からは知られなくなりつつある文化大革命(一九六六年〜一九七七年)中、知識人をねたんで罵る言葉として、「地、富、反、坏、右、叛徒、特務、走資派」と階級付けしました。上から順に、地主・富農・反革命分子・悪質分子・右派分子・裏切り者・スパイ・資本主義という風に階級付けして敵対視したのですが、走資派のさらに下の九番目に「臭老九」を設けて迫害したのです。
臭老九は臭豆腐を文字っていて、「聞着臭吃着香」、つまり「くさいけど、食べれば美味しい」と蔑んだのです。「臭老九」の子弟は紅衛兵にすらなれなかったほど迫害されましたが、毛沢東が「老九不能走」と宣言し、ようやく救済されたのでした。この臭老九とは、なんと「学者、教師」を指しますから驚き以外ありません。結果的に中国の発展を大幅に遅らせ、中国伝統文化や概念を破壊し、多くの知識層や資本家を粛清して死に追いやったのは、このような思想を全国展開させた典型的なケースと言えるでしょう。
中国では三大職業の日があり、五月一二日「護士節 (国際看護師の日)」、一一月八日「記者節」(記者の日)」があります。今ではこれほどまでに尊重される教師の立場になりました。小中高の教師の平均年収においても、三〇年前の五五〇元(八八〇〇円)から二〇〇〇年には八二七四元(約一三二三八四円)にまで増加しました。大学教員の待遇も大幅に改善され、二〇〇〇年の平均年収は一四一九八元(約二二七一六八円)にまで増加しました。それとともに教員用住宅不足も改善され、一人あたりの平均住宅面積においても、都市の教師家庭が一般の都市住民を上回るようになっています。
次号では、我が子可愛いさの余りエスカレートする社会現象についてお話ししたいと思います。
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