【臭老九】VOL.2
●生徒たちにここまで慕われたら、教師冥利に尽きますよねぇ。
さて、ユネスコは一九九四年に、一〇月五日を「世界教師の日」と定めていますが、中国も、教育が激しく荒廃した文化大革命の反省と、教師の立場や地位向上を目的に、一九八五年に九月一〇日を「老師節」が設けられました。香港、台湾は「孔子」の誕生日である九月二八日です。この日は生徒が教師に花束、カード、チョコレートをプレゼントし、感謝の気持ちを表します。日本では教師の地位が失墜しているせいか、ほほえましい祝祭日だと思っていたのですが、昨今は名門校になるほど、保護者からの「贈り物攻勢」が年々エスカレートしているそうで、食事やお茶の誘い、高価な贈り物、ショッピングギフト券など、なかには海外旅行のプレゼントもあるそうで、教師に我が子に対する心象や待遇に、厚かましい期待を抱く不純な親が増えているそうです。教師節のプレゼントは多様化、高級化の一途で、ギフトコーナーを設ける店さえあります。
腐敗が深刻に進む中国社会、教育界でも例外ではなく、地域経済や文化の発展が不均衡で、全体的な教育水準の格差も広がっていると言わざるを得ません。「為人師表、教書育人(人の師表となり、教育で人を育てる)」思想はどこに行ってしまったのでしょうか。功利至上主義、拝金主義が横行する社会環境では、教師の尊厳を失うばかりか、可愛い我が子の心にも危険な腐敗精神が芽生えてしまうのではないかと感ぜざるを得ません。
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