【中国古典】VOL.2
●もう3年前になりますが、小生がお墓参りした
諸葛亮墓石(左)と孔子墓石(右)
「応対辞令」は、厳しい環境のなかでも対人関係をいかにうまく生きるかといった人間学のようなものです。中国で子孫のために書き残す「家訓もの」と言えば真っ先に挙げられるのが、隋代・仁寿年間に著された顔之推の「顔氏家訓」です。
今から約1400年前に書かれた7巻にも及ぶこの書物は、後の顔師古、顔真卿などの生活心情にまで影響を与えたとされています。
乱世を生き抜いた経験からくる教えのなかでも、とくに老子の「止足の戒め(=足るを知る)」、つまり「何ごともホドホドが良い」といった教えが示されています。
日本でも人間関係に苦労した夏目漱石は、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい。」と嘆きました。
中国でも同じような例として、孔子は「中庸」を、『菜根譚』では「バランス感覚」を説いています。
『戦国策』にも戦国時代の策略を比較的短いエピソードでまとめられており、「中国古典は応対辞令の学である」と言った安岡正篤を始め、多くの漢学者に多大なる影響を与えました。
中国ではいくら政治手腕に長けていても、学問教養に欠けていたのでは、「無学なヤツ」として軽蔑の対象となってしまいました。歴史に名を残した戦国武将たちは「兵法書」で原理原則を学び、「歴史書」で事例を学び、そして臨機応変の対応ができる指導者となったわけです。
秋の夜長、みなさんも是非中国古典の名作を読んで、参考になるものを見つけてください。