敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【万年筆】VOL.2


●夏目漱石書「陶淵明詩」(左)と漱石

 夏目漱石の作品には、よく「オノトの万年筆」が登場しますが、そのオノト万年筆は1907年(明治40年)から我が国に輸入され、当初は万年筆嫌いだった漱石も次第に愛好するようになったと言われています。つまり万年筆を扱うことが、文化人の仲間入りというような風潮があったのでしょうね。
  さて、お隣中国の万年筆事情はといいますと、ペン先の曲がったペンが、最近出回っているようです。ムック『世界の万年筆』で見かけましたが、その特集≪中国万年筆事情≫の記事によると、ペン先の反ったペンは、中国では「長江書法硬筆」、「書画筆」、「工芸筆」、「美工筆」などとよばれ、結構人気があるそうです。多くの作家が筆ペンの代用品として文字を書いたり、画を描いたりするために使われているようです。
  小生の知り合いの先生で、手紙の下書きはワープロで、清書をお気に入りの便箋にお気に入りの万年筆とインクで書く方がいらっしゃいます。確かに手紙をもらう側も、ワープロの活字より万年筆で書いた方が豊かな気持ちを伝えることができるような気がします。
  万年筆にはそれぞれに特有のクセがありますので、同じブランドの同じ商品でも、実際に書き味を試してから買わないと後悔することになります。本当にお気に入りの万年筆に出会うまで何本も買ってしまい、いつの間にか万年筆コレクターになっている方も結構いらっしゃいますね。
  最近はコレクター心理をくすぐる商品が多くのブランドから発表されています。デザインや価格で思わず衝動買いしてしまい、「次のカード決済日が気になって夜も眠れない」なんてコトにならないようにお気をつけください。