敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【傘蓋(さんがい)】VOL.1


●野点傘。「お茶なとどうどすかぁ?}

 我が国ではいよいよ鬱陶しい梅雨の季節に入りました。梅雨といいますと、日本の他には中国では南方にあたる揚子江付近、あとは朝鮮半島の南部くらいにしかないようですが、日本のように南北に長い地形だと、梅雨現象が同じように現れるわけではなく、たとえば北海道のように「梅雨らしき時期がない」ということもあります。
  さて梅雨(つゆ)という名称は、「梅の実が黄色く熟す頃に降る長雨」という意味からきているという説が有力です。梅雨の他には梅霖(ばいりん:りんは長雨の意)という呼称でも呼ばれています。梅雨と書いて「ばいう」とも読みますが、こちらの「黴雨」も同じ読み方をします。
  「黴」すなわちカビ、この時期は湿気が多く、春に比べ気温もほど良くなってきているので、黴(カビ)が目立つ頃だからでしょうか。ホント言い得て妙ですネ。他には若葉の季節になぞらえて「青梅雨(あおつゆ)」とも言われています。
  暦の上では、芒種の後、壬の日を「入梅」、小暑の後の壬にあたる日を「出梅」というふうに、梅雨に関する日が決められているのですが、実際の気象上の梅雨とは一致しておらず、「外れ天気予報にヒドイ目に遭わされた」なんてコトもよくある話です。「傘を持って行かなくてさあ」…なんて話がよくあるのもこの時期に多いようです。
  そう、この時期の必需品と言えば傘ですね。百円傘、折り畳み傘、ジャンプ傘、置き傘、日傘、その他にも蛇の目傘、舞踊傘、野点傘、ミニ傘…、相々傘なんてのも艶っぽくて良いですね。このように傘の役割が増えるとともに、色彩やデザインも年々多種多様になってきています。そして本格的な梅雨到来の時期、通勤通学の人が持つ鮮やかな傘の群れを見ますと、雨が降った日はファッションショーのような気分になることがあります。そんな傘ですが、最近傘の素材はナイロンやビニールが使われるようになりましたが、その昔は油紙を用いた傘だったようです。今でも観光地のお土産物屋さんなどで、古風な傘を販売しているのを目にします。
  次号では傘の歴史についてお話してみたいと思います。