【花火】VOL.2
●日本の花火は世界一。30号玉は上空700メートルまで、直径600メートルの大輪を咲かせます。
さて、日本人で最初に花火を見物したのは誰だかご存知でしょうか? 1589年伊達政宗が花火を見たとの記録があるようですが、これは信憑性に乏しいようです。もっとも信頼できる記録によると、最初に花火を見物したのは徳川家康であると書かれています。それによると、1613年長崎・平戸に商館を造ったイギリス人、ジョン・セーリスが国王ジョージ一世の国書を持った正式な使者として駿府を訪れた際、家康と花火を見た、とあります。
当時の日本の花火は、筒を立てて黒色火薬を詰めて点火し、火の粉が吹き出すのを楽しむ程度のものであったと伝えられています。セリースが長崎から連れてきた中国人が見せた花火はイギリス製を始めとしたほとんどが外国製であり、鑑賞に堪える大きな花火の大半は外国人によって打ち上げられていたようです。
しかし今では打ち上げ花火は日本のお家芸。伝統的な花火職人技術の粋を集めた花火の花形で、牡丹、柳、菊、芯菊、八重芯菊、菊花残光、菊浮模様、型星などがあります。
打ち上げ花火は、玉の寸法に応じて導火線の長さ、打ち上げ用の火薬の量が決まるので、それによって打ち上げ高度も決まります。この高度と開きのバランスは、演出効果や花火師の技術で決まります。30号玉になると高さ約700mぐらいまで上がり、また直径600mぐらいまで広がる大掛かりなものまであります。
中国では毎年10月1日は春節に次ぐ一大イベントである国慶節。各地で大花火大会が開催されます。その裏では伝統的に中国の花火製造を担ってきた中部の江西省、湖南省では、花火づくりは貧困者を支援するための職域だそうです。花火製造は国の許可を得た工場と、自宅や村の作業所などで作っている数千もの無許可業者に別れます。通気など職場環境が悪く、無秩序な作業所で発生する事故は後を絶たず、毎年数百人にも及ぶ死者や負傷者を出しているそうです。
華やかで美しい花火に酔いしれている私たちですが、その一瞬の輝きには安い労働力の儚さが何かを訴えかけているのかもしれませんねえ。