敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【重陽節と教師節 】VOL.1


●壮大なスケール、北京・故宮博物院

 今号・次号では、中国の重要な2つの祝日をご紹介いたします。最初に中国では旧暦の9月9日を重陽節としています。九九は中国語で「久久(ジィウジィウ)」と発音が同じで、長久平安の意味の意味をもっています。また九は最高の数字で、次の0は無を意味しますので、明・清代の皇帝の住居であった北京故宮博物院の宮殿の部屋数は9,999間となっているほどです。
  後漢の時代に、家に災いが降りかかることを恐れた桓景(かんけい)が、仙術を学んでいた仙人・費長房(ひちょうぼう)から「お供え物である茱萸(かわはじかみ)を携えて山に登り、菊花酒を呑むと災いから免れる」と言い渡されます。桓景は言いつけ通りに家族で山に入り、その結果桓景一家は本当に災難から逃れることができました。
  この故事から重陽節の風習が起こったようです。唐の詩人・王維の「9月9日に山東の兄弟を憶(おも)う…」という詩は、このことを後世に伝えようとした詩です。また白居易の詩『重陽の席上で白菊を賦す』に、酒を飲みながら菊を賞でるといった内容の名作があり、そこから重陽節に菊花酒を飲むと長生きするといった風習が伝えられたようです。
  重陽の節句は日本では菊の節句ですが、中国でも同じくこの日には菊の花が欠かせませんでした。しかし東晋の詩人・陶淵明はせっかくの重陽節に、貧困からご馳走もお酒も買えず、ただ菊の花を眺めて、そして詩を作って楽しんだそうです。
  「菊を採る東籬の下、悠然として南山を見る」。このことから現在でも陶淵明に倣って菊の花を愛でる習慣が広まり、そして中国各地で菊花展が開催されるようになりました。
  もう一つは9月28日の教師節です。文化大革命(1966〜76年)による教育行政の荒廃を反省し、教師の地位向上を促す目的から新設した記念日で、この日は学校が一斉に休みになります。その主旨は日ごろ子ども達の教育に情熱を注ぐ教師たちに「充分な休息を取ってもらおう」という意味があるようです。28日が教師節に選ばれたのは、この日は魯の国(今の山東省)が生んだ不世出の「至聖先師」孔子の誕生日だからです。
  中国では9月の祝日、記念日が多く、次号はその辺りについてお話いたします。