敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【非典(重症急性呼吸器症候群SARS)】VOl.1


●ボディーペインティング(左)「NO MORE SARS」と マスクに落書きが大流行 。

 一昨年11月広東省に出稼ぎに来ていた労働者たちのSARS発生は、2月の旧正月「春節」の帰省により一気に中国各地へ広がりました。その後広東省の隣にある国際都市・香港に飛び火したことで、ついに世界中に広がってしまいました。さらに皮肉にも発生患者の入院先での院内感染によって、病院関係者、患者、見舞客と次々と感染が拡大したと考えられています。しかし中国当局はその後3ヶ月にわたってその事実を公表しなかったうえ、国際的にもはや隠し通せない状況になっても「流行は終息している」と事実と反する発表をした結果、状況は一層深刻なものになってしまいました。
 発生からわずか半年の間に世界30数カ国、800人近い人名を奪い取ったSARS。先月ようやく首都・北京の渡航自粛規制が解かれたものの、未だに治療法はおろかウイルスの確定さえ出来ない状況に、専門研究機関は頭を悩ませているようです。気象局国家気候センターの研究発表によると、SARSウイルスの伝染には気象状況が深く関係しているそうです。それによると最高気温と一日の温度差、相対湿度などの気象要素は、SARSウイルスの伝染や増可に大きく関係しているようです。感染者が大量発生する約10日前に、最高気温が低い(摂氏二26度以下)、一日の気温差が小さい、相対湿度が高い、の3つの気象的特徴が確認され、これらの条件が揃う気象状況の場合は、SARSウイルスの発生と伝染がさらに起こりやすいとしています。これから迎える夏は気温が高く、SARSウイルスの発生と伝染は比較的抑えられると見られますが、相対湿度が高ければSARSウイルスの生存可能な期間が長くなるため、より注意が必要になります。夏も引き続きSARS予防のために、学校、オフィス、病院など人が密集する場所では、エアコン使用時に室温を二六度以上に保ち、適時室内の換気を行ない、湿度が低い状態を保つようにする必要があるようです。
 今回以上発生したSARSの影響は経済にも深刻な影響を与えました。まず得体の知れないウィルスに対する恐れから個人消費が冷え込み、飲食店、繁華街、高級ホテル、空港などから人影が消え、一時的な損害が本物の不況になりつつあります。実際飲食店などの客も激減し、不衛生な飲食店は営業停止などの行政指導を受ける店も出ています。SARS感染源との疑いが強まっているハクビシンを使ったメニューの取り扱いを止めたレストランも出ているようです。