【中秋節】VOL.1
●お月見の祭壇。今宵は優雅に月見酒。
日本では古来より旧暦の秋にあたる8月の満月を『中秋の名月』といい、十五夜は旧暦の8月15日、新暦では9月20日前後に満月を鑑賞する習慣があります。月の出るのを待ち、そして愛でる「お月見」には、ススキや団子が供えられます。ところによると8月15日だけでなく9月13日にも月見をする風習があり、こちらは「十三夜」、「後の月」、「栗名月」とも呼ばれています。十三夜には、月見団子の他に栗や枝豆をお供えします。「十五夜をしたら、十三夜もしなければならない」という風習も伝えられており、一方だけの月見「片月見」を嫌う風習もあったようですが、この十三夜のお月見は日本独自のものです。
中国では古来より月には不老不死の女仙人が住んでいると考えられ、願い事をしたい女性は月を見たり、または月を描いた掛け軸を飾って願い事の成就を祈りました。しかしこのお月見は元々は女性だけの行事で、男性はお月見などはしなかったようです。
ところが唐代になると、「女性が月に願懸けをするのなら、男は月見酒だ」といった具合に、お月見の晩に酒宴を催して詩を詠むようになりました。この頃にお月見の習慣が日本に伝わったようです。日本はちょうど奈良〜平安時代で、宮廷行事として平安貴族たちは名月の夜(十五夜)に和歌を詠んではその出来をみんなで評価しあって酒を酌み交わしていました。
最近の研究によると「お月見」の発祥はやはり中国で、各地で月見の日にサトイモを食べることから、元々はサトイモの収穫祭が中国の宮廷行事としても行われるようになり、その習慣が古来より日本にあった秋の収穫祭と合わさったもの、という説が有力になっているようです。一方一般の人々は、農作物の収穫が一段落した頃でもあったので、収穫の感謝のお祝いも兼ねて収穫した初物を供えたり、また満月に形が似ている里芋や、満月をかたどった団子を月に供えていました。
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