【元宵節】VOL.2
また元宵節のときには決まってあるモノを食べます。それは「湯圓」といい、もち米を丸めて作った団子(中には黒胡麻や餡子などが入っています)を甘い汁で煮る、日本でいう白玉団子かお汁粉みたいなものです。元宵節に湯圓を食べる習慣は、漢武帝の時代に武帝の側近だった東方朔が行なった奇策が始まりとされています。
東方朔はある日家族に会えないことを苦にし井戸に身を投げようとしていた一人の宮女・元宵を助けました。東方朔は元宵を正月に家族に会わせるために、彼は武帝に「長安在刧 火焚帝闕 十六天火 焔紅宵夜」の書状を送ります。慌てた武帝に東方朔は、火の神の怒りを鎮めるために元宵に作らせた湯圓と、都民に作らせた灯篭を捧げ、爆竹を鳴らせば火の神も喜ぶと言ったわけです。
その結果元宵は、見物にやってきた家族との再会を果たしたという故事とともに、湯団が家族団欒(だんらん)の象徴として受け継がれてきたのです。元宵節から一夜が過ぎれば長いお正月もエンディングです。とくに地方では都会部に出稼ぎで働く人たちが多く、春節を故郷で過ごし元宵節が明けると一斉に仕事場に戻り、新たな一年の仕事と長い別居が始まります。
さて、最近の中国ではとくに若い世代を中心に「元宵節離れ」が進んでいるようです。祝日や節句の挨拶として大流行の携帯電話によるショートメールも、同時期の情人節(バレンタインデー)と比較すると激減するようです。あるサイトで見ましたが、中国最大ポータルサイト「新浪網(SINA)」で行われたあるアンケート調査によると、中国伝統祭日の位置付けでも元宵節は最下位で、重要度を問う調査でも元宵節はクリスマスやバレンタインデーよりもはるかに下回っています。
現代中国では伝統的な節句や祭日は魅力に欠け、ロマンチックな要素や娯楽的要素をイベントとして組み込まないと、西洋的な記念日やイベントに惹かれる若者の意識を捕らえられないのかもしれません。日本も同じことが言えますが、伝統的な行事が家族の絆を強めたり、一家団欒になることもあるだけに寂しい気がしてなりません。
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