敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【清明節】VOL.1


●山東省曲阜にある孔子のお墓。

 今まで中国七大祝日のなかから「春節」「重陽節」「端午節」「中秋節」「元宵節」をご紹介してきましたが、今月号では6つ目の祝日で来月に迎える「清明節」をご紹介いたします。これで残る一つは12月の「臘八節」だけとなりました。
 「清明節」は新暦四月五日になります。先祖のお墓を清め、お供えをして線香を焚き、お金に見立てた紙を燃やして爆竹を鳴らす…。中国ではごく普通のお墓参りで、別名「掃墓」とも言われています。「清明」には二つの意味があり、一つは節気を、もう一つは祭日を指しています。地球が太陽のまわりを公転する円周360度を、15度回転するたびに一つの節気と定めたことから、一年間のうちに24の節気が廻ってくるということになります。  
 一つ一つの節気は、それぞれ地球が太陽のまわりを自転する具体的な位置をあらわしています。節気としての清明は、ちょうど15度から30度に至る区間で、西暦によれば4月5日(或いは4日)から20日(或いは19日)の間になります。ひとつの節気の始まる位置を「交節気」と称し、清明の交節気の日は4月5日(或いは4日)を清明節としています。24の節気のなかで、中国の祭日となったのはこの清明節だけです。
 清明節の起源は古く、戦国時代の出土墓葬品『周書-「時訓」』のなかに、すでに清明節に関する記載があり、これによると戦国時代から2400年もの間に、民間でさまざまな風習の清明節が行なわれていたことが分かっています。たとえば清明節には柳枝を挿す風習があり、そのことから『風土記』には、清明節を「柳節」と呼ぶというふうに書かれています。この時期女性は柳の枝を使った髪飾りでお洒落をします。「清明節に柳を指さなければ、紅顔が白髪になる」という言い伝えが残っているほどです。
 清明節を詠んだ代表的な詩といえば唐代の詩人・杜牧の『清明』であり、「清明時節雨紛々 路上行人欲断魂 借問酒家何処有 牧童遥指杏花村」(清明の頃は気候がだんだん暖かくなるけれど、春雨が降るとまだ寒く、産地杏花村の名酒で身体を暖めたいと願う。)と詠っています。また『武林旧事』では「清明節前後の10日間には、城内の士女はそろって化粧をし、金玉翠、匂い袋を身にまとい…」とあります。