【黄金週(ゴールデンウィーク)】VOL.2
●世界中を震撼させたSARS。医師(左)一時期流行った「SARSNO」ペインティング。
しかし労働生産性と単位労働時間あたりの収入が増加することは、その見返りとして労働時間が減り、結局は生産の増加が期待できないことにもつながります。また無節操な休暇の拡大によって人々が一時期に集中して休暇を取ると、交通事情や観光地、サービス業などの労働効率やサービスの低下につながることから、休日拡大議論に対しては慎重に対処すべきだという議論や、どのように休日や祝日を取得すれば、ゆとりあるレジャーを楽しめるかという議論もおきているようです。
現在、中国人の一年間の公休はなんと114日にも達し、一年の約3分の1近くにも及んでいます。人々の休暇に対する考え方も大きく変わり、「要銭不要命(命よりお金が大事)」よりも、好きなことをして精神的リラックスを得ることの方に価値を求めているようです。
しかしそんな中国のレジャー業界に激震を与えたのがご存知SARSです。直接的な被害を受けた中国国内の状況は深刻でした。筆者も当時国家機関が黄金週期間の外出を控えるよう全土に通達を出したという報道を見ました。
列車や飛行機内で高熱の乗客が発生した場合、その車両や機内を隔離して衛生当局や医師による問診や車内消毒が行われるなど、交通機関などに大きな影響が出ました。観光業界の打撃も深刻で、有名な観光地の入場者がほとんどいない状態や、他省からのツアー受付を一律中止するなどの対策により収入激減になったようです。
今ではすっかり過去の出来事のように誰も触れなくなってしまいましたが、それより何より新たな火種として「対日抗議デモ」の影響で中国旅行企画の中止や延期で、訪中する方の数が減るのではという懸念もされているようです。もうすぐやってくる5月の黄金週はどのような状況になるのか、一中国ファンとしても心配でなりません。
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