敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国菜(中国料理)】VOL.1


●北京の最高級料理「北京ダッグ」(全聚徳にて)。

 中国四大料理といえば一般的には北京、上海、広東、四川の4つの地方料理だとほとんどの方が言われると思います。実際多くの雑誌の中国料理特集などで中国四大料理が紹介されると、やはりこの四つの地方料理が紹介されています。
 この四大料理を詳しく言いますと、まずモンゴルや満州民族などの料理と北京料理、宮廷料理をミックスして出来たのが「北京料理」。2つ目に揚子江流域に広がる地方の、豊富な魚介類を使ったのが「上海料理」。3つ目に「食は広州にあり」の通り、あらゆる食材が使われる「広東料理」。最後に高温多湿の激辛内陸料理が「四川料理」。今では以上が一般的な中国四大料理とされています。
 しかし中国でもともと四大料理といえば、蘇菜、魯菜、川菜、粤菜のことを指します。もうお気づきだと思いますが、蘇は江蘇、魯は山東、川は四川、粤は広東の各省を指しています。まず蘇菜について言うと、「蘇菜はまたの名を江蘇菜といい、揚州、南京、蘇州の三地方の料理が発展してできたものである」と先の教科書にはあり、どうやら現在の上海が中心になって発展してきたものではないようです。
 ただ四大料理という枠を十二大料理までの範疇に広げると、そのなかには上海菜(料理)というのが登場するようで、それは17世紀から急速に発展してきた上海を舞台に蘇菜をベースとして全国各地の特色ある料理を集めて上海独特のものとして独立させたローカルな料理で、これを「海派菜」と呼んでいます。
 このことから考えると、中国人が通常考える四大料理の一つ「上海料理」とは、目覚ましく発展し続ける大都市上海を中心とした長江下流域の料理全体の総称だと思われます。
 次号では中国料理の歴史、そして中国人が愛してやまない屋台料理の賢い食べ方についてお話します。