敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【梅雨】VOL.1


●梅雨も「紫陽花雨」と表記すればロマンチックでいいかもしれませんよね。。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、梅雨という漢字は中国語にはありません。隣国に広大な国土を持つ中国に梅雨という文字がないのは不思議な気もしますが、四季のある日本だからこそ「梅雨」という漢字が生まれたのかもしれません。梅雨は韓国、中国の一部、そして日本だけにおきる特有のものですが、広辞苑(講談社)によると「6月上旬〜7月中旬にかけて日本・朝鮮半島南部・中国東部 (長江流域)におきる雨季」とされています。
 そもそも梅雨がおきるのは、日本列島北部にある冷たく乾いた大陸性「オホーツク海高気圧」と、太平洋上にできる高温多湿な「太平洋高気圧(小笠原高気圧)」、この2つの高気圧が押し合い・圧し合いしてできる梅雨前線が梅雨の正体のようです。梅雨明けとはこの2つのバランスが大きく崩れ、その結果梅雨前線が消滅することです。
 さて梅雨はなぜ「梅の雨」と書くのでしょう。そもそも梅の花が咲くのは大体2月ごろですから、6月の時期の長雨に「梅」の字と使うのは不思議だと思いませんか。もし梅雨の時期に関連させるのなら、なんと言っても「アジサイ」ではないでしょうか。たとえば「紫陽花雨」でしたらピッタリなのですが…。
 またまた脱線しますが、昔の句には「梅雨」よりも「五月雨」の方が一般的だったらしく、数多くの句が作られました。「さ」は五月(旧暦)、「みだれ」は水垂れからきた言葉のようです。古今和歌集のなかで雨について詠まれた歌は多く、「五月雨」は紀友則、紀貫之が、同じ雨でも「春雨」は紀貫之、大友黒主、大江千里が、「時雨」は紀貫之、兼覧王、小野小町などという大家によって詠まれたようです。
 古今和歌集でたった一人で六種も雨の歌を詠んだ紀貫之ってよほど雨が好きだったのでしょうかねぇ。