敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【梅雨】VOL.2


●最近は「入梅宣言」後、全く雨が降りませんねえ。

 梅雨という呼び名には諸説があります。中国では明時代の文献に「梅雨」という記載があり、これが最初ではないかと言われていますが、中国で唯一梅雨のある揚子江流域でも、梅の実が熟す時期が雨期にあたり、そのため梅雨という単語が造られたと言われています。
 諸説のなかで代表的なものとしては、梅の実がなる頃に降る雨だから「梅雨」、湿度が高くカビを発生させる雨だから「黴雨」(ばいう)、これが転じて「梅雨」。日本では1687年の『日本歳時記』に「これを梅雨(つゆ)となづく」とあることから、どうやら江戸時代あたりから「梅雨」は「ばいう」から「つゆ」に変わったようです。
 日本では「つゆ」の語源について諸説があります。
1.木の葉などに落ちる「露」から呼ばれている
2.梅の実が熟してつぶれる時期であることから、「つぶれる」を意味する「潰ゆ(ついゆ→つゆ)」から来ているなどです。
 もうみなさんお気付きだと思いますが、梅雨は梅の実がなることからの命名というのが正解でした。
 さて日本では梅雨の時期の降水量が、なんと年間降水量の約3分の1も占めているのです。もしも梅雨がなければダムの貯水量は大幅に減り、夏場に必要な水がなくなってしまうことは明白です。しかも前述した梅雨の原因であるジェット気流は、冬場になると日本海側への豪雪をもたらし、そして春先に雪解けとなり川やダムへ大量に流れ、その結果大きな水資源となっています。
 こうように長雨や豪雪といった自然現象は、夏場の水不足を解消しているといった事実があるわけです。筆者などはついつい「うっとうしい雨だ」とぼやいてしまいますが、むしろ梅雨の長雨は「自然の恩恵」と言った方がいいのかもしれませんね。