「王羲之に学ぶ」
◆読売書法展創立25周年記念企画として、関西展会場にて上記の展観が催されます(9月9日(火)〜14日(日)、於.京都市美術館)。本展観は、単なる名品展のかたちをとるのではなく、標題に「学ぶ」とあるとおり、学書の対象としての王羲之に焦点を当てています。近年は新資料の発見も相次ぎ、王羲之書法の実相をさぐることが以前より現実味を帯びてきました。しかしながら、書道史上の展開を見るとき、判然としない王羲之像へのたくましい想像力こそが、各時代の様式を築き上げる原動力であったことに気づかされます。
◆全体は、「Ⅰ .王羲之を学ぶー刻帖に書聖をさぐるー」「Ⅱ .王羲之書法の展開―中国―」
「Ⅲ .王羲之書法の展開―日本―」「Ⅳ.王羲之書法と仮名の成立」の四部から構成されています。書道史上での王羲之書法のあり様を確認するとともに、学書の基盤に王羲之を据えることによって、日中の名家がどのような新書風を展開したのかをたどります。さらに、日本の仮名の成立に王羲之書法がいかに関係したかをさぐります。小規模な展示ながら、京都国立博物館や各収蔵家のご協力を得て精品を集めることができました。日常の学書を見つめ直す格好の機会となることでしょう。
京都市美術館
<主な展示品>
十七帖(上野本)、蘭亭序(游丞相蔵玉泉本)、淳化閣帖(粛府本=菊池惺堂旧蔵)、汝帖(近衛家旧蔵)、祝允明「七絶詩幅」、王鐸「瓊蕊廬帖(けいずいろじょう)」、傅山「臨王献之幅」、近衛家熈「蘭亭記」、池大雅「草書芝草詩」、貫名菘翁「楷書朱子家訓」(付・内藤湖南跋)、伝小野道風「小島切」、伝小大君「香紙切」。
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