敬天齋主人の知識と遊びの部屋
推薦の言葉

 
書法漢学研究メルマガ
メールマガジン Vol.8 2010年4月30日発行
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4月も後半を迎え、大阪では春の風物詩「造幣局桜の通り抜け」も終わりました。今年は東京で観測史上最も遅い降雪があるとともに、気温が6度という異常気象を記録するなど、まさに三寒四温となりました。クリーニングから返ってきたダウンジャケットをもう一度タンスから取り出した方も多かったと思います。くれぐれもご自愛いただきたいと思います。

さて、「書法漢學研究」第6号刊行に遅れること3カ月、ようやく久しぶりのメルマガ発行となりました。毎回、著者の先生方には力のこもった玉稿をいただき感謝申し上げます。小社では、多くの読者の方々にとって、有益で参考になる内容・誌面作りを目指して、これからも邁進して参りたいと考えております。何卒、ご理解・ご協力のほど、伏してお願い申し上げる次第です。

【本号の内容】
 新理事就任のお知らせ
 「書法漢學研究」第6号を刊行しました
 最近の中国書画事情 −大野修作−
 新刊案内 「王鐸唐詩六首手巻」  NEW!


 新理事就任のお知らせ

書法漢學研究会、発足から3年半近くが経過しましたが、このたび役員改選が行われ、新たに4名の先生方が理事に就任していただくことになりました。すでに理事会の承認を得ておりますので、発表させていただきます。(敬称略・五十音順)

  • 魚住和晃(神戸大学名誉教授)
  • 辻井義昭(北海道教育大学教授)
  • 富田 淳(東京国立博物館調査研究課)
  • 平形精一(静岡大学教授)

 「書法漢學研究」第6号を刊行しました
第6号  
【論 考】 張 莉 「稷」字成立の試論
  魚住和晃 法隆寺釈迦三尊像光背銘にかかる一考察
―その内容の歴史的妥当性を中心として―
【研究ノート】 富田 淳
鍋島稲子
悲★雑録 ―趙之謙の面影―
  河野  西川 寧先生の印癖
  大野修作 王鐸詩稿
  内田 誠一 師元山房夜談 2 ―今は亡き啓功先生の面影―
【詩吟漢詩講座】 随時募集中です。
◆読者の皆様からの、自作漢詩の投稿をお待ち申し上げています。
    


 最近の中国書画事情 −大野修作−

一月末に『書法漢學研究』第六号が発刊されました。定期的に内容の濃い雑誌を出してゆくことは楽ではありませんが、皆様の後押しがあればこそと思っております。

書譜社の北京本社にて筆者
書譜社の北京本社にて筆者

内容の充実を考えれば、日本国内だけでなく、中国、朝鮮など漢字文化圏の外国の事情も知っている必要を感じて、昨年末、北京に行ってきました。主たる目的は書譜社の本社北京移転の開幕式に参列要請があったことと、併せて行われた「漢字書法大会」という学会で日本の近代書道事情を報告するというものでした。

何しろ最近の中国のオークションでの書画の値段はバブルそのものと言っても善いもので、張瑞図の「行書般若心経」が一億四千万の値がついたことや、八大山人の「★倪山水」が史上最高値と言われる十一億円で落札されると言うことがありました。それら高値のつく物の多くが日本に在るもので、数十年か数百年前に日本に舶載されてきた本物で、それら確実な本物が中国では品薄になってしまい、日本にバイヤーが来て買いあさっていると言うことは一部の人には知られています。

学術検討会の模様
学術検討会の模様

もう一つバブルを招いているのは、経済成長が著しい割には、書画の学問が脆弱になり、有名な書画と評判を取ると、それに飛びつくと言うことがあります。もっと視点を広げて書画の文化の底辺を上げなければと言う動きも一方で出つつあるようです。私が今回、北京で報告したのはそのような要請に対してです。現代の中国人は日本の近代の書壇の流れなどほとんど知りません。もちろん毎日系や読売書法系の違いも知りませんし、朝日の二十人展のメンバーの名前もほとんど知られていません。まして謙愼書道会や日本書芸院などのことは知りませんので、明治以後の楊守系来日以後、日下部鳴鶴以来の書道史の流れをごく大雑把に述べてきました。

学術検討会での筆者
学術検討会での筆者

それも少し無理をして、一時間半、すべて中国語で発表しました。すると大変な反響で真剣に聞いてもらえました(恐らくネットで配信されているかと思います。新聞社の人が取材に来てましたので)。また小生が主幹する『書法漢學研究』にたいしても、これほどの学術雑誌が日本で発行されているのかという驚嘆をもって迎えられました。

これからは『書法漢學研究』は漢字文化圏での学識有る雑誌として、世界に発信してゆかなければと確信のようなものを持ちました。

 

 新刊案内 「王鐸唐詩六首手巻」new

王鐸唐詩六首手巻ゴールデンウィーク明けの5月中旬予定で、「王鐸唐詩六首手巻」を刊行いたします。本巻子はもともとは長尾雨山蔵であったのが日本に入り、古くなら個人蔵だったものです。それをこのたびスタジオ撮影し、出版にしたもので、本邦初公開となります。
内容は杜甫の詩を五首、李★(斤+頁)の詩を一首、流麗な草書で巻子に書いたものです。
箱書、装丁、題箋など、伝世経緯の分かる箇所も掲載、そして全文原寸掲載、さらに全頁カラーにて紹介しております。
釈文は中国芸術研究家・鄒濤氏に、現代語訳と解説は書法漢學研究会理事長の大野修作先生に依頼しました。王鐸書法に興味のある、一人でも多くの方に、未見の新資料出版をお手元においていただきたくご案内する次第です。

【仕様体裁】A4判並製 本文28頁(全頁カラー) 定価2,000円(税別)
  ISBN978-4-9903603-4-4 C3070



書法漢学研究 メールマガジン Vol.8  2010年4月30日発行
【 編集・発行 】アートライフ社 http://www.artlife-sha.co.jp
540-0035 大阪市中央区釣鐘町1-6-6 大手前ヒルズ209
  Tel:06-6920-3480 Fax:06-6920-3481
差出人: 敬天齋主人こと近藤 茂   
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