◆本書は、個人所蔵で出版履歴の無い貴重な資料を出する企画「民間に眠る名品シリーズ」の第二弾です。第一弾の「王鐸唐詩六首手巻」は重版するほどのご好評を賜りました。本書も書道界にとって有益な資料としてご評価いただけたらと思います。
◆本巻子は劉石庵(1719〜1804)が、李白の詞「憶秦蛾」「菩薩蛮」を行書風に書いたものです。上記の詞は古体詩の一種で、また作者が本当に李白であるか議論のあることから、著者・大野修作氏は「詩詞巻」としました。また、劉石庵がこうした李白の詞と伝えられるものを書いたこと自体が興味深く、自由無碍な李白に習い、広がりのある世界を新たに構築したいと願って書いたと推測しています。
記年がないため、本巻制作年代は確定できませんが、書風から、また劉石庵の経歴から考えて、恐らく中年以前の比較的若い頃の貴重な作品であること、さらに「御賜」印があることから、宮中から下賜品として臣下に与えられた名品であると言えるでしょう。
◆澳門の一大コレクター・ケ蒼梧氏旧蔵であることから、伝世の名品であると言えます。
劉石庵
清代の政治家・書家。山東省諸城生。宰相統勲の長子。名は?、字は崇如、別号に木庵・青原等。乾隆16年進士となり、翌年翰林院に入り、のち宰相となった。経・史・諸子百家の学に詳しく、詩文を能くした。また小楷と行草に長じ、書風は個性的で、濃墨を使用し、高雅な情感がある。嘉慶9年(1804)歿、86才。
【仕様体裁】A4(210×297mm) 中綴じ 本文28頁(全頁カラー) 定価2,100円(税込)
ISBN 978-4-9903603-9-9 C3070 好評発売中! |