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書法漢学研究メルマガ
メールマガジン Vol.16 2014年1月22日発行
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『書法漢學研究』第14号メールマガジンvol.16をお届けいたします。

 今年の春節(旧正月)は1月31日です。みなさんはお正月におみくじを引かれましたか。おみくじの順位は「大吉・吉・中吉・小吉・半吉・末吉・末小吉・平・凶・小凶・半凶・末凶・大凶」で、吉凶の量の比率は神社仏閣によってバラバラのようですが、実は吉凶よりも運勢の説明が書かれた内容の方が大切だそうです。
 中国のおみくじは「神筈(しんばえ)」と言います。中国式(神筈式)おみくじにおいて神筈を引くには、まず心の中で「住所・名前・生年月日・願い事」をつぶやき、本殿内の供物台に供えられた「筈桶」を振り、中に入った串のような棒を一本出します。
神筈の神具一式  次に2個の三日月形の神具「神筈」を投げ、2個が「表(陽)・裏(陰)」の組み合わせになれば正しい籤とされ、棒に書かれた番号のザラ紙「籤」がもらえます。両方とも表(陽)か両方とも裏(陰)の場合は、もう一度おみくじを引き直すところからやり直しとなります。何回も何回も繰り返すのはいけないので、その場合は日を改めるのがよいようです。
 籤には「大吉・上吉・上上・中吉・中平・下下」があり、上半分が七言律詩で今後の運勢を古文で書かれています。日本人はさっぱり分からないと思いますが、古文なので中国人でもすぐに意味を理解できる人はそんなに多くないでしょう。来月、台湾に行く予定なので、一度、神筈にもチャレンジしてみたいと思います。 (近藤 茂)

【本号の内容】
 「書法漢學研究」第14号のご案内とお知らせ
 「書法漢學研究」第14号刊行にあたって −大野修作−
 既刊紹介 『沈石田・文徴明書画合冊』 『文徴明草書詩巻』

 「書法漢學研究」第14号のご案内
書法漢學研究第13号  
【論考】 青銅器の真贋と鋳造法 松丸道雄
  副島種臣と斉玉渓(下)
― 明治一〇年、上海にて ― 
島 善高
  漢詩人・橋本海関
― 日本画家・橋本関雪の父と漢詩 ―
大野修作
【研究ノート】 王学仲先生の書画について 中村伸夫
  小野鐘山 硯石講演の記録(下) 菅野裕子
  『琉球王国漢文文献集成』の
出版によせて
高津 孝
  「中天游邸跡」石碑 花田尊文
【詩吟漢詩講座】    

【お知らせ】
今回から漢詩講座の優秀作品に《金賞》を出しました。受賞者には賞品の発送を以て発表と致します。
ご協賛頂いた筆墨匠店さま(順不同)には心よりお礼申し上げます。
  玉蘭堂 (東京都)
  雪江堂大阪 (大阪府)
  カタナヤ (大阪府)
  一休園 (広島県)
  墨運堂 (奈良県)
  クレタケ (奈良県)
  合図 (大阪府)
  そろ里 (奈良県)
次号の応募締め切りは4月下旬、課題は「静」、「出遊」です。

 
 「書法漢學研究」第14号刊行にあたって −大野修作−
謙慎書道界編 王鐸
謙慎書道界編 王鐸

先日、東京銀座画廊美術館で王鐸展が開催されましたが、これだけ規模の大きい王鐸専門の展示が見られるのは、これが最後になったかもしれません。主催者の一人である謙慎書道会の高木聖雨さんもこうしたことが出来るのはもう無いかもしれないと言っておられました。

最近の中国経済が日本経済を上回る規模になっている背景が、王鐸、傅山など有名書家の作品展覧に繋がっていると言えます。何故かといえば、アヘン戦争以来落ち込んでいた中国経済は、約150年にわたって多くの文物を国外に流出させました。その多くが、明治後期から大正、昭和初期の日本に流入しましたが、却ってその多くが現在、本国帰りの潮流になりつつあるということです。中国人からすれば文物回帰は本来の姿にもどることで、日本に勝利したという昔年の恨みというか宿願が達成されるという快感につながっていることも事実でしょう。香港返還の時も中国ではイギリスに対する百年の恥を雪ぐとスローガンが懸かっていました。

翻って日本の最近の研究は、「帖学だ、碑学だ」といった研究はひとまず片が付いたので、明治以後の日本自身について、知らないことが多すぎるということを自覚する、それに気がついて研究し出してきたようです。

本号の島先生の「副島蒼海の上海時代における中国文人との漢詩のやりとり」は、これまで全く扱われてこなかった領域です。小生の橋本海関の漢詩もこれまで誰も研究していません。まだ残された漢文資料が各地に手つかずに存在しますので、地道にこつこつと研究すれば、多くの新しい研究が芽生えてくると思われます。

松丸道雄先生
松丸道雄先生

巻頭の松丸道雄先生の「青銅器の真偽と鋳造法」についての考察は極めてすぐれた考察ですが、口述筆記ということで先生は発表することを躊躇されていました。しかし、こうした創見に富んだ考察は口述の方が分かりやすいと判断しましたので、編集部の方で活字に翻刻して載せました。皆様、ご了解をお願い申し上げます。

漢詩講座は今回からは優秀作品に金賞を設定して、表彰することに致しました。協賛の筆墨匠店様には厚くお礼申し上げます。これを機に皆様ふるって応募されますことを期待しますし、書家は自作の詩文を書くことが基本であるという漢詩文化が定着する機会になることを希望します。


 
 既刊紹介 『沈石田・文徴明書画合冊』 『文徴明草書詩巻』

 民間に眠る名品シリーズとして好評の、『沈石田・文徴明書画合冊』、『文徴明草書詩巻』、それぞれオークションで高値売買され、中国に里帰りいたしました。今後、表に出ることのなくなったこれら名品2点、改めてご紹介します。

文徴明沈周書畫合巻
詳細・ご購入
文徴明沈周書畫合巻 清国墨眇亭舊蔵 羅振玉題

釈文・訓読・解説:大野修作

◆本巻は題箋に「沈文合璧」と称する通り、明代の沈周が書いた畫と文徴明の詩書の合作という珍貴資料で、跋文を含めて七メートル近い長巻です。
 題材は沈周と文徴明が支y山を遊歩した様子を、沈周が畫と五言律詩に表し、その後50年を経て文徴明が七言律詩に詠んでいます。
 しかし、沈周の畫は未完のため、清代になってから張宗蒼が雲煙を補筆し、沈周と張宗蒼の畫、それに文徴明の書という構成になっています。
 巻末には、内藤湖南、羅振玉、長尾雨山など大家が跋文を記し、さらに高島屋創業一族である飯田新七旧蔵であることからも名品のなかの名品と言えるでしょう。

【仕様体裁】 B4変形(32.5×25.7p) 折本 図版原寸オールカラー 解説部分モノクロ
定価:4,200円(税込) ISBN978-4-9906254-4-3 C3070 \4000E

 
文徴明草書詩巻
詳細・ご購入
文徴明草書詩巻  清国羅叔言舊蔵 内藤虎署

釈文・訓読・解説:大野修作

◆本巻は文徴明が自作の詩を四首、行草書で伸びやかに書いた珍貴資料です。現存する文徴明の作品を探してみても、これほど伸びやかで溌剌な書風で書かれた作品はそうもないでしょう。
 巻末に、羅振玉が「文徴明の書の筆使いは、晋唐諸家の書に倣った」こと、内藤湖南は「文徴明は晋唐時代の書の正脈を受け継いだ」と、ともに跋文で文徴明の草書を絶賛しているのも頷ける見事な筆致です。
 本巻も高島屋創業一族である飯田家旧蔵であることからも名品のなかの名品と言えます。行草書の臨書学習に非常に適した資料と言えるでしょう。

【仕様体裁】 B4変型(32.5×25.7p) 折本 図版原寸オールカラー 解説部分モノクロ
定価:5,250円(税込)  ISBN978-4-9906254-6-7 C3070 \5000E



書法漢學研究 メールマガジン Vol.16  2014年1月22日発行
【 編集・発行 】アートライフ社 http://www.artlife-sha.co.jp
540-0035 大阪市中央区釣鐘町1-6-6 大手前ヒルズ209
  Tel:06-6920-3480 Fax:06-6920-3481
差出人: 敬天齋主人こと近藤 茂   
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